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介護通所施設利用者の生活基盤は家庭であるため、入所施設利用者に比べて口腔ケアに関しては本人任せになっていることが多い。この研究では、ある介護通所施設の利用者の口腔の状況について報告する。対象者の平均年齢は82.9±8.2歳、介護度は要介護2および要介護3が最も多かった。現在歯数の平均は6.0本、現在歯20本以上の者の割合は8.5%で、平成17年歯科疾患実態調査と比べていずれも低い値であった。治療の必要性を認めたものは約43%であり、重度の歯周病やう蝕、歯石沈着、義歯未修理などであった。介護通所施設を利用している高齢者は、歯科治療の必要性がありながら、歯科治療を受けていない者が多かった。歯科口腔保健法が2011年に公布されたが、介護通所施設を利用している高齢者に対する口腔保健推進対策は急務と考える。
2000年度から介護保険制度が実施されてきたものの、介護予防のニーズは、年々増大・多様化している。その動向に伴い介護予防政策も連動的に複雑化・複合化していく中で、全体像が見えにくい現状がある。このようなことを踏まえて、介護予防政策における全体的構造を明らかにすることが本論文のねらいである。筆者自身による介護予防に関する研究の他、介護予防政策の全体的構造を扱った先行研究を検討したところ、次の2点が課題として残されているのが明らかになった。 (1).「介護予防」を政策的側面から捉えた上で、全体的構造を分析し把握する。(2).「介護予防」の政策領域(カ
テゴリー)におけるところの優先順位が、どのようになっているのか明らかにする。本論文ではこの2点を研究目的として取り組んだ。その結果、介護予防政策における全体的構造については、本研究でのマトリクス分析に基づき4つの領域(カテゴリー)に分類できた。また、その4つに分類された介護予防政策領域の中で優先順位を検討したが、各々の領域(カテゴリー)が複合的なつながりを維持するという条件のもとで、各領域(カテゴリー)ごとのある一定の段階を把握することができた。
テゴリー)におけるところの優先順位が、どのようになっているのか明らかにする。本論文ではこの2点を研究目的として取り組んだ。その結果、介護予防政策における全体的構造については、本研究でのマトリクス分析に基づき4つの領域(カテゴリー)に分類できた。また、その4つに分類された介護予防政策領域の中で優先順位を検討したが、各々の領域(カテゴリー)が複合的なつながりを維持するという条件のもとで、各領域(カテゴリー)ごとのある一定の段階を把握することができた。
ヴィクトール・フランクルの社会認識と社会学主義批判-自己超越性の社会学に向けて-
著者:若狭 清紀
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第6号(2015.1)p43-54
2015年01月31日発行
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本稿は、社会学的な問題関心からフランクルの思想を検討するものである。フランクルは、人間は自己超越をすることによって真に人間的になると考えている。そのため、自己超越を抑制する現代社会を批判している。また、社会学主義が、社会的制約性を超越する本来的に人間的なものを見落としてしまうと批判している。ジグムント・バウマンの主張には、このようなフランクルの思想と呼応するものがある。これを併せて検討することにより、社会学の新しい可能性として、人間の自己超越性を根底にすえた社会学というものが示される。
低酸素脳症者のリハビリテーション-発動性低下や自殺未遂歴が、就労や家事状況、 家族の介護負担感にどう現れるか-
著者:先﨑 章
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第6号(2015.1)p31-41
2015年01月31日発行
ダウンロード(766KB)
リハビリテーション病院で関わった低酸素脳症者の中で、身体障害がないかあるいは軽度で、復職や保護的就労を目指して、1年間外来でのリハビリテーションにて支援を継続した15例(うち3例は自殺未遂を発症起点とする)を検討し、発動性の低下、自殺未遂歴という精神科的な問題がどのように経過したのか明らかにした。1年間の期間に「発動性」が改善したのは9例(60%)、「就労・家事状況」が向上したのは6例(40%)であった。本人の障害の程度や能力と、環境との両方が、「就労・家事状況」の向上に関連する。「就労・家事状況」が向上した6例中、主たる介護者である家族の「介護負担感」が改善したのは2例(33%)で、3例(50%)ではむしろ悪化していた。社会参加度が向上することで、自宅で家族の役割や責務が大きくなる。「発動性」改善9例では主介護者の介護負担感が悪化したのは3例(33%)のみ。一方、「発動性」悪化5例では3例(60%)で主介護者の介護負担感が悪化していた。家族のサポートのためにも、発動性の低下について介入することが医療者に望まれる。自殺未遂例3例とも、受傷時は大うつ病(DSM-Ⅳ -TR)の状態であったことが強く推定された。しかし1年間の外来リハビリテーション期間中は、3例とも明らかなうつの再燃はなかった。復職した1例では、復職後にうつが再燃した。意欲や知能、記憶が回復している自殺未遂例では、受傷前と同様のパターンに陥る危険がある。
Study on QOL & FQOL for PWD and Direction of the Measurements in Asia(アジアにおける障害者家族のためのQOLとその測定方向に関する研究)
著者:洪 金子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第6号(2015.1)p17-30
2015年01月31日発行
ダウンロード(608KB)
The purpose of this study is to discuss the current situation and issues from previous research on the “quality of family life (FQOL)” for people with disabilities (PWD) and their family. Research conducted in Asia, particularly in Japan and in Korea and the issues of the research is used for discussion. To achieve this study’s purpose, firstly, the summary of previous studies and theories relating to QOL and FQOL for PWD is introduced. Secondly, the issues and methodological problems of the QOL & FQOL studies conducted in Japan and Korea are listed. Finally, the following 5 points are suggested regarding the direction for development of QOL & FQOL measurement model in Asia based on the Schalock’s QOL model and the Zuna et al’s FQOL model; 1) As a premise of QOL & FQOL for PWD, recognizing people with disabilities and people without disabilities as a same human being; 2) With the social ecological perspectives; 3) Taking into account the unique cultural differences by countries; 4) Including questions not only about the present but also about the past & near future; and 5) Developing question items with consideration for the development of scales (factor (concept) – domain – indicator – indicator item) .
講演記録
被災者に対して試みた心理療法の効果測定―EMDRと家族療法による総合的アプローチの一事例―
著者:青木 正
日米高齢者保健福祉学会誌 第5号(2013.3)p155-163
2013年03月31日発行
ダウンロード(949KB)
本稿は、東日本大震災で被災され、PTSDの症状が見られたためEAPを利用されたクライエントに対して、EMDRと家族療法による統合的アプローチを行った。その効果測定の1事例を報告する。
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