[日本学術会議協力学術研究団体]茶屋四郎次郎記念学術学会

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幼児の共振と音楽的発達―3歳児クラスの事例検討を通して―
著者:持田 京子
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p111-129
2009年03月31日発行
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近年、幼児音楽教育において多くの考え方があり、一方的に子どもに音楽を教え込む、といった考え方があるのも現状である。しかし幼児は保育現場の遊びの中で、日常的に身体を使ってリズムを感じて表わし、他と共有している。このように音楽の3要素の中でもリズムは生活、遊びの中に混在している。中村(1993)はリズムの根源性への着目から、音楽のベースを「リズム振動」として捉え、人が関係性の中でリズムを共有することを「共振」と表している。そこで幼児の「共振」が音楽的発達に有効である、という仮説のもとに、幼児が遊びの中で表すリズムを観察する。本研究において、「共振」の音楽的有効性を明らかにし、今後の幼児音楽教育の方向性のひとつを考察する。
Profile of Korean Families Caring for Children with Disabilities(韓国における障害児家族の生活の現況とその満足度に関する研究)
著者:洪 金子,崔 恵枝,李 恵英
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p95-110
2009年03月31日発行
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本研究は、韓国における障害児を養育している家族の生活の状況とその満足度を明らかにする目的で行なわれた基礎研究である。調査対象者は、韓国のC市に住んでいる障害児家族の中、第一養育者である82名で、家庭訪問による調査を実施した。生活の領域は、健康、経済的状況、家族の関係性、他人からの支援、障害関連サービスの支援、霊的文化的信念、余暇と楽しみ、経歴と経歴の準備、地域社会と市民としての関与状況の9つの領域に分けて、それぞれの領域に対する現況と満足度を計ってみた。その結果の中で、特記することだけを紹介すると、先ず、家族員数は平均4.19名であり、ほとんどが父親・母親・2名の子ども家族の構成であった。家族の30%が健康に多大な関心を持っていて、健康に対する満足度は高かった(42.6%が最も満足であるか、満足)。17%が貧困線以下の生活をしていた。応答者の約69%が家族関係への満足を示している反面、他人からの支援に対し満足する比率は14%だけであった。霊的・文化的信念は、障害児家族の生活や満足に非常に重要な影響を及しているということが分った。また約30%の家族が彼らが願っている経歴や経歴への準備が出来ないと答えた。余暇や楽しみに関する満足度は普通であった。地域社会や組織への参加の平均は1.79であり、12.5%が満足していると答え、その率は低かった。本研究は韓国で障害児を養育している家族の生活の状況やその満足水準に関する基礎的資料を提供するという点で、意義深い論文であると思われる。
Histochemical Studies on Cytochrome Oxidase and Succinate Dehydrogenase Activities of Hepatocytes in Human Liver Tissues Immediately after Thawing(解凍直後のヒト肝組織における肝実質細胞のチトクロム酸化酵素およびコハク酸脱水素酵素の活性に関する組織化学的研究)
著者:成田 成,伊藤 政幸,重松 昭世,佐藤 哲男
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p87-94
2009年03月31日発行
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将来の医学・薬学・生物学のための予備実験の1つとして、我々は、解凍直後のヒト肝組織における肝実質細胞のチトクロム酸化酵素およびコハク酸脱水素酵素の活性を組織化学的に調査した。コントロールには、凍結処理をする直前のヒト肝組織を用いた。ヒト肝組織の切片をBurstone法に準じて処理すると、ピラゾロン顆粒が肝実質細胞の細胞質に観察された。その顆粒は基質を含まない液で処理すると認められなかったので、チトクロム酸化酵素の活性を示すことがわかった。個人差は認められたが、小葉間結合組織側における肝実質細胞のチトクロム酸化酵素の活性は、中心静脈側のものよりも組織化学的に強くなる傾向を示した。ヒト肝組織における肝実質細胞のチトクロム酸化酵素の活性は、組織化学的にコントロールの場合と同様であった。一方、ヒト肝組織の切片をNachlasらの方法に準じて処理すると、ジホルマザン顆粒が肝実質細胞の細胞質に観察された。その顆粒は基質を含まない液で処理すると認められなかったので、コハク酸脱水素酵素の活性を示すことがわかった。個人差は認められたが、小葉間結合組織側における肝実質細胞のコハク酸脱水素酵素の活性は、中心静脈側のものよりも組織化学的に強くなる傾向を示した。ヒト肝組織における肝実質細胞のコハク酸脱水素酵素の活性は、組織化学的にコントロールの場合と同様であった。これらの結果は、解凍直後のヒト肝組織がいくつかの酵素に関する科学的研究のために有効であることを示唆している。
《我々=人間》の消滅とその彼方―ミシェル・フーコー『言葉と物』 第2部 7~9章読解を核に―
著者:永澤 護
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p77-86
2009年03月31日発行
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現在、<人間の身体>領域に対する<生体工学的介入>という仮説的概念によって把握可能な実践およびその展開という事態が、《我々=人間》の生存を根底から再編成する可能性を持つものとして登場しつつある。「知である権力」の考古学を企てたことで知られるミシェル・フーコーは、主著『言葉と物』において、《我々=人間》の生存の根底的な再編成というこうした事態がそこから可能になり生成する知の基本的諸配置のなかでの変動プロセスにおける決定的な転換点を、「人間」の誕生と消滅という固有な問題設定(思考の課題)として焦点化し記述した。本論文においては、フーコーが展開したこの問題設定を、『言葉と物』の読解を通じて掘り起こし、<生体工学的介入>の分析論から導かれた諸論点との連結点を、記述行為=言説実践の超越論性と<生体工学的介入>の潜在的力能(potential)との相互交錯的反復というテーマにおいて抽出することを試みた。
幼児と大人が表情図を感情推測した際の強度に対する発話分析―色と感情を中心として―
著者:戸田 大樹
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p65-76
2009年03月31日発行
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本研究は、幼児と大人が色と感情が異なる表情図を感情推測した際の強度選択要因を発話面から証明することを目的とした。調査において、幼児には色と感情が異なる表情図を個別に呈示した。そして、反応は異なる大きさの円を記載したカードを選択してもらう方法をとった。大人には質問紙にて同様の調査を行った。その際、幼児が円カードを選択した理由を録音し、大人には自由記述で求めた。第1調査の結果、幼児が表情図の感情要因を主として度合いカード強度の選択決定をしていることが認められた。第2調査の結果、大人が表情図の感情要因を主として度合いカード強度の選択決定をしていることが認められた。
精神保健福祉現場実習生の成長についての研究―実習巡回指導時のスーパービジョンを通して―
著者:柴田 覚
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p51-63
2009年03月31日発行
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本研究では、「精神保健福祉援助実習を通した実習生の成長」について、精神保健福祉援助実習における実習教員による実習巡回指導面談をデータとし、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)によって明らかにした。その結果、実習生の成長のプロセスおよびその特徴も明らかになった。また、実習指導教員のSV方法の変化についても整理した。これらの実習生の成長のプロセスおよびその特徴、そして実習指導教員の成長を、実習の全体構造の中に位置付け、実習生の成長を促進させるための取り組みについての提言を行なう。
マウスのシャトル型非連続回避反応に及ぼすドパミン受容体刺激薬と選択的ドパミンDA-1およびDA-2受容体遮断薬の併用効果―前シナプスおよび後シナプスドパミン受容体の寄与―
著者:栗原 久
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p33-49
2009年03月31日発行
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DA-1ドパミン受容体遮断薬のSCH 23390は10μg/kg以上、またDA-2ドパミン受容体遮断薬のsulpirideおよびnemonaprideはそれぞれ30mg/kgおよび10μg/kg以上でマウスのシャトル型非連続回避反応を抑制し、それ未満の用量ではいずれの薬物とも回避反応に影響を及ぼさなかった。Sulpiride (30mg/kg) およびnemonapride (10μg/kg)の回避反応抑制効果はSCH 23390 (0.3-10μg/kg)を併用しても影響を受けなかったが、SCH 23390(10, 30μg/kg) の回避反応抑制効果は低用量のsulpiride (0.3, 1μg/kg)およびnemonapride (0.3-3μg/kg)によって減弱された。一方、高用量同士、すなわちSCH 23390 (10, 30μg/kg)とsulpiride (30 mg/kg)あるいはnemonapride (10μg/kg)の併用では回避反応抑制効果が増強した。ドパミン受容体刺激薬apomorphineは低用量(0.1 mg/kg) で回避反応を軽度に抑制し、この効果は低用量のSCH 23390 (0.3-3μg/kg)によって影響を受けず、低用量のnemonapride (0.3, 1μg/kg) によって減弱され、高用量のSCH 23390およびnemonaprideによって増強された。一方、SCH 23390およびnemonaprideの回避反応抑制効果は高用量のapomorphine (1 mg/kg) によって減弱された。これらの結果は、ドパミン受容体刺激薬および遮断薬の効果発現に、後シナプスDA-1受容体に加えて、前シナプスDA-2ドパミン自己調節受容体に対する結合が強く関与していることを示唆している。さらに、マウスのシャトル型非連続回避反応を移用した本実験方法は、ドパミン受容体を介して発現する薬物の臨床における抗精神病効果、パーキンソン病様症状の出現、学習・記憶に及ぼす効果などの検討に適しているものと期待される。
Development of Sensitization to the Ambulatory Stimulant Effect of Cocaine -Importance of the Simultaneous Experience of the CNS Stimulation and the Resultant Locomotion in the Early Post-Cocaine Period-(マウスの移所運動からみたコカイン増感現象―投与直後における中枢刺激作用と運動の同時経験の重要性―)
著者:栗原 久
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p23-32
2009年03月31日発行
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The change in the CNS stimulant effect following the repeated administration of cocaine was investigated in terms of ambulatory activity in mice. An ambulatory sensitization was induced in the mice that were allowed ambulation in an activity cage (20 cm in diameter) for 2 hr after the repeated administrations of cocaine (20 mg/kg s.c.) at 3-day intervals. Almost the same level of sensitization was produced in the mice that were allowed the ambulation during one of the post-cocaine period of 0-1/4, 0-1/2, 0-1, 1/4-1/2, 1/4-2, 1/2-3/4, 1/2-1, 1/2-2 or 3/4-2 hr. However, the allowance of ambulation during the post-cocaine period of 1-5/4 hr elicited only a partial sensitization, and 0-1/6, 1-2, 3/2-7/4 and 3/2-2 hr no sensitization. These results suggest that an ambulation for at least 1/4 hr during the early post-cocaine period of 0-1 hr is important for induction of strong ambulatory sensitization to cocaine in mice, and that the behavioral sensitization is produced through an environment-drug pairings in this time zone. It is also concluded that the CNS stimulant effect in the early post-cocaine period is the minimum requirement for the development of the reward effect of cocaine.
政治についてのパターン認知の心理学的考察
著者:木村 純
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2009.3)p13-22
2009年03月31日発行
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本研究の目的は政治意識研究の歴史を概観することである。政治意識についての研究はこれまで世界で数多くなされてきたが、それらには多くの方法上の問題が存在する。そこで、本研究では政治意識研究の新しい枠組みとして、物語分析のアイデアに基づいた政治におけるパターン認知を提示する。
養育者の内的作業モデルの変化と配偶者のサポートの関連
著者:加藤 孝士
日米高齢者保健福祉学会誌 第4号(2008.3)p3-12
2009年03月31日発行
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本研究では、養育者の内的業モデル(Internal Working Model:IWM)の更新要因を探るため、IWMの変化と配偶者からのサポートの関係を検討した。調査対象者は、乳幼児を養育中の252名であった。分析の結果、自己観において、出産前と現在の変化と配偶者からのサポートの関係は見られなかった。しかし、他者観において、出産前に比べてネガティブに変化した養育者は、他群の養育者に比べ配偶者からのサポートが低いことが示された。よって、配偶者からのサポートは、自己観よりも他者観との関係が強いことが示唆された。
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