[日本学術会議協力学術研究団体]茶屋四郎次郎記念学術学会

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依存症患者とその家族を対象とするグループワークモデルの探索
著者:洪 金子,李 恵英
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p301-316
2008年03月31日発行
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本研究は、グループワークにおける現代的傾向と動きを反映しながら、グループワークに寄せられている期待に応えるグループワークモデルは何であるかを探索することに目的を置く。そのため多様化している対象者の中、依存症者とその家族のような多問題グループを対象に彼らの問題やニーズの変化に積極的に対応できるグループワークモデルのあり方について探索してみようとする。本研究の目的を達成するため、次のような研究課題を設定する。(1)なぜグループワークにおいて理論的モデルを構築する必要があるのか?(2)依存症患者と家族はどのような傾向があり、問題は何か?(3)統合的グループワークモデルである目標形成モデルの原理と実践方法は何か?(4)依存症患者グループとその家族に有効なグループワークモデルの方向性はどうあるべきか?などである。特に、依存症患者と家族のためのグループワークモデルを捜し求めている。ソーシャルワーカーに目標形成モデルによるグループのやり方を紹介し、患者と家族に有用で質の高い援助ができるように支援しようと試みた。「目標形成モデル」は、まず、グループメンバーのニーズを満たすため目標を立てる。その目標が個人の治療にあるときは治療モデルを、社会的機能の向上にあるときには社会目標モデルを、個人と社会の関係性の構築にあるときには相互作用モデルを活用するという、いわば統合モデルである。
認知症・高齢者への自律訓練法の適用における効果と問題
著者:原 千恵子
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p285-299
2008年03月31日発行
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まず自律訓練法(Autogenic Training 以下、ATとする)の認知症高齢者への適応の可能性を検討するために個別にATを指導した。その結果、比較的早期にATへの感受性を言語により示し、行動の進歩も確認できた。つぎに半年・10 回の短期のセラピーで第2 公式までをグループ指導した。グループでは、他者への配慮や模倣などにより認知症重度の人も安定して参加できた。セラピー前後における評価では、重度の人は、知的向上は見られなかったが、描画などによる実際的能力や情緒面に向上がみられた。中度の人たちは全般的に向上が見られ、軽度の人たちは、描画では向上を示す人が少なかったが、知的側面に向上を示した。全体的にはセラピーの効果は認められ、認知症高齢者へのAT導入による治療の有効性を示すことができた。2 年以上継続した長期グループ指導ではATが習慣化され、反応も安定してきた。またATにより自分の心身に向き合うことや認知症の随伴症状を緩和することは可能である。しかし長期に練習しても自主的な練習は期待できない。聞こえの悪い人や認知症重度の人には特別の配慮のもとで実施する必要がある。閉眼は長期に実施していくうちに可能となるが、閉眼とATの効果と必ずしも一致するわけではない。不適応を示す人はなく、そのことは公式を充分受け止めているか否か疑問が残る。
Morphological Studies on Hepatocyte Plasma Membranes in Rat Livers Immediately after Thawing(解凍直後のラット肝臓における肝実質細胞の細胞膜に関する形態学的研究)
著者:成田 成,浜井 憂子,新倉 靖子,伊藤 政幸,新庄 容子,佐藤 哲男,重松 昭世
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p273-283
2008年03月31日発行
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Plasma membranes of hepatocytes in rat livers immediately after thawing were morphologically investigated in a preliminary experiment for furthering medical and pharmacological investigations. The plasma membranes of hepatocytes located around central veins tended to be more prominent than those located around interlobular connective tissues. Rat hepatocytes immediately before freezing served as controls. Immediately after thawing, the plasma membranes of the hepatocytes were ultrastructurally more obscure than those of the controls. When a phosphate buffer saline containing 0.1% trypan blue was perfused from the portal vein to the hepatic vein, nuclei of the hepatocytes located around interlobular connective tissues stained blue. There was no observable trypan blue uptake in the control cells. These results proved that plasma membranes of the hepatocytes located around interlobular connective tissues in rat livers became torn immediately after thawing. Therefore, it is suggested that plasma membranes of hepatocytes located around central veins are intact in the rat livers immediately following the thawing process.
Age-Related Changes in Oocyte Size of Primordial Follicles in Rhesus Monkeys(アカゲザルの加齢に伴う原始卵胞における卵母細胞の大きさの変化)
著者:成田 成,新倉 靖子,清水 竜,小林 愛,重松 昭世,佐藤 哲男,浅岡 一雄
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p261-271
2008年03月31日発行
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We morphologically evaluated the oocyte size of primordial follicles in the rhesus monkeys as a preliminary experiment for improving fertility and decreasing aging in human. We evaluated female monkeys in the breeding and non-breeding seasons. The animals consisted of two groups: young animals (7 years old) and senescent ones (17 to 27 years old). The oocytes, surrounded by a layer of flat granulosa cells, were observed in the ovarian corteces. The number of oocytes in senescent animals was clearly lower than that of young ones. In the breeding season, the oocyte size of senescent animals was significantly smaller than the oocyte size of young ones (P<0.001). Also in the non-breeding season, the oocyte size of senescent animals was significantly smaller than that of young ones (P<0.001). In young animals, the oocyte size in the breeding season was significantly larger than the oocyte size in the non-breeding season (P<0.001). In senescent animals, however, there was no difference in the oocyte size during breeding and non-breeding seasons. These results suggest that oocyte function in the primordial follicles decreases in older primates.
<生体工学的介入>の分析論――哲学的探究としての「メタ生命倫理学」構築の試み
著者:永澤 護
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p249-260
2008年03月31日発行
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本論は、<生体工学的介入>という仮説的概念を焦点化する分析テーマを考察する。その目標は、「メタ生命倫理学(Meta-bioethics)」の方法論的探究概念として、この<生体工学的介入>概念が位置付けられる文脈の分析を試みることである。ここで「メタ生命倫理学」とは、これまで「生命倫理学」と呼ばれてきた探究領域が構築されていく文脈生成過程の哲学的分析論を意味する。この分析論のポイントは、以下である。[1]《我々=人間》の欲望が位置する<我々自身の無意識>という文脈生成を媒介するレベルを焦点化する。[2] <記述行為=言説実践>の哲学的分析論である。本論は、この意味での「メタ生命倫理学」構築作業の端緒となることを目指している。さらに、本論は、その理論的射程において任意の「テクノロジーによる介入」の哲学的分析論のモデルとして構築される。
高齢者の主観的ウェルビーイング― 改訂-いきいき度尺度(PLS-R)の高齢者への適用 ―
著者:田中 芳幸,津田 彰,小笠原 正志,神宮 純江
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p235-248
2008年03月31日発行
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筆者らは、精神的健康の二次元モデルに基づいて、ポジティブとネガティブな精神的健康の側面を測定できる山田ら(1994, 1996)のいきいき度尺度を改訂し、項目短縮版の改訂-いきいき度尺度(PLS-R)を作成した(田中ら、2006)。PLS-Rの得点は個人の主観的ウェルビーイングを反映する。本研究では、PLS-R の信頼性と妥当性が高齢者でも保たれるかを検討した。さらに、PLS-Rを用いて、高齢者の主観的ウェルビーイングの特徴についても検討した。福岡市健康づくりセンター等にて「いきいき度」に関連する質問に回答した6,589 名(男性1,258名、女性5,331 名)の回答を分析対象とした。このうち359 名(男性110 名、女性249 名)は高齢者であった。高齢者は、前期高齢者(65 歳-74歳)と後期高齢者(75 歳以上)の2 群に分類して検討を行った。心理統計学的解析にはPLS-Rの14 項目を利用した。高齢者データを用いた確証的因子分析の結果は、非高齢者の4因子構造(満足感、ネガティブ気分、チャレンジ精神、気分転換)モデルと同一であった。この高齢者の4因子構造モデルは、データとの適合性を十分に示した(GFI=0.95, AGFI=0.92, RMSEA=0.058)。さらに、本研究のネガティブ気分のみが他の下位尺度と負の相関関係を示したことは、精神的健康の二次元モデルを支持する結果であった。高齢者データにおいてもPLS-Rは十分な因子的妥当性を有しているといえる(累積寄与率52.8%)。また、内的一貫信頼性も十分であった(α=0.67-0.83)。これらのことから、PLS-Rは高齢者へも適用できることが確認された。本研究により、非高齢者よりも高齢者の方が、主観的ウェルビーイングが高いことも明らかになった。ただし、後期高齢者の主観的ウェルビーイングは、前期高齢者よりも有意に低かった。この様な前期高齢者が最も主観的ウェルビーイングが良好という関係性については、「満足感」や「ネガティブ気分」では前期と後期の高齢者に差がないなど、主観的ウェルビーイングの構成要素ごとに異なっていた。以上の結果から、PLS-R は高齢者か非高齢者かに関わらず、十分な妥当性と信頼性を有することが示された。改訂-いきいき度尺度が年齢を超えて、ポジティブな精神的健康状態を測定するのに有用な尺度であることが示唆された。また、主観的ウェルビーイング全体としては前期高齢者が最も良好であることや、高齢者になると男女間で程度が逆転する主観的ウェルビーイングの構成要素があること、前期と後期の高齢者に差のない構成要素も存在することなど、高齢者の主観的ウェルビーイングの特徴を明らかにした。さらに、前期高齢者と後期高齢者とでPLS-R 得点に差があるという本研究結果は、高齢者の主観的ウェルビーイング研究においては高齢期内のステージを考慮する必要性も示唆した。
障害福祉関連法制施策にみられるノーマラィゼーションの理念―スウェーデンと日本の比較―
著者:田代 幹康
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p221-233
2008年03月31日発行
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本研究は、スウェーデンと日本における障害者福祉関連法制施策におけるノーマラィゼーションの理念についての比較研究である。研究は文献、資料の分析とインタビューにもとづき行われ、両国の障害者法制施策におけるノーマラィゼーションの理念の視点について明らかにする。そして今後の日本、スウェーデンにおけるノーマラィゼーションの理念のあり方についても考察を行う。
レヴィンの「ガリレオ的考え方」における単一事例の意味(「構造全体の決定因が最も明確に純粋に見分けられるような事態を探し出す」―ひとつの質的研究方法の提案と実践)
著者:田嶋 清一
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p211-220
2008年03月31日発行
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レヴィンによれば、現代心理学は、「アリストテレス的考え方」から「ガリレオ的考え方」へと転換をはかるべきである。すなわち、現代心理学はガリレオ的考え方に立つべきであり、その立場に立てば、ある事例がしばしば生じたとしても、その事例が重要であり、証拠として有効であるとは評価されない。逆に、一回しか生じていない単一事例からさえも、私たちは法則をつかむことができるし、本質を見抜くことができる。したがって、理論を裏書きするような(本質を見抜くことができるような)具体例を提起することが求められている。そして、その際、法則が普遍的に妥当するという観点で、通常は別々に分類されている心理学的対象を、等質化しうる(等価の構造を持っているとみなしうる)と考えられている。本研究はレヴィンに由来する質的研究の方法論の提案である。
保育者に求められる「弾き歌い」の演奏レベルと教材の関連性について
著者:田崎 教子
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p195-209
2008年03月31日発行
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本研究では、現場で働く保育士100名へのアンケート調査を行い、「保育者に求められる『弾き歌い』の能力とは何か」を明らかにした。その結果、保育者に求められる「弾き歌い」の能力とは、子ども一人ひとりを見守りながら、音程・テンポ・リズム等に考慮して「弾き歌い」が出来る事、さらに身体表現に合わせて伴奏が出来る事であるということが確認できた。しかし、現実的にはこのような能力を持ち合わせている保育士は少なく、多くの問題点が浮き彫りになってきた。1つには、「弾けないと弾かない」という現象、2つには、「自分の演奏レベルと使用楽譜とのミスマッチング」であった。さらに保育者養成校における学生の演奏レベルについても調査を行った結果、初級者・上級者向けの教材(楽譜)が少ないという事が明らかになった。これらを踏まえ、「弾き歌い」に関する既存の教材(楽譜集)14冊から任意の10曲について調査し、それぞれの曲について8 項目にわたって分析し、「弾き歌い」教材のもつ特色と問題点を明らかにした。そこでは、中級者向けの楽譜が多いという結果を踏まえ、「弾き歌い」教材の新たなスタイルとして、レベル別(3段階)の楽譜を提案し、現場の保育士や養成校の学生のニーズを満たす教材のあり方を模索した。最後に、「弾き歌い」に関する具体的な指導方法を提示した。
障害者の地域生活移行を支援するプログラムの開発と評価に関する実証的研究
著者:関口 惠美,田代 幹康,池澤 泰典,是枝 喜代治
日米高齢者保健福祉学会誌 第3号(2008.3)p175-194
2008年03月31日発行
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2006年に導入された障害者自立支援法において「自立訓練」(生活訓練)が、社会生活力を高める事業として位置づけられ、知的障害者が地域社会において普通に生活していくための社会生活力を高める支援をしていくことが重要な課題となった。筆者らは、知的障害者の生活全体をカバーした社会生活力を学ぶための体系的なプログラムとして、2006 年に「自立を支援する社会生活力プログラム」を開発した。そこで、本プログラムの評価方法を開発しプログラムの有効性を実証的に検証することを目的として、重度知的障害者の居住施設で8 名の利用者を対象に、本プログラム「コミュニケーションと人間関係」のモジュールを用いて実践を試みた。実践は、隔週1回、11セッション、6ヶ月間行った。実践終了後に筆者らが考案した実践評価表を用いて本プログラムの効果を検討した結果、ケースによってプログラムの効果が示された。楽しみながら実践に参加することができ、参加意欲も増して参加者同士の人間関係も形成された。プログラムの有効性をより高めるための示唆も得た。今後は実践をさらに重ね今回試行した評価尺度の妥当性や信頼性の検討を行うことが課題である。
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