[日本学術会議協力学術研究団体]茶屋四郎次郎記念学術学会

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認知発達7か月前後の知的障害と肢体不自由のある児童への発達を促す取り組み-スイッチを押すと光る因果性の理解及び児童と授業者のやりとり成立の過程に着目して―
著者:藤澤 憲
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第15巻(2025.10) p67-82
2025年10月31日発行
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本論では特別支援学校の自立活動の時間(個別指導)において、認知発達が7か月前後の知的障害と肢体不自由のある児童を対象に、暗い空間でスイッチを押すと光るという因果性の理解の獲得や児童と授業者のやりとり成立の過程等を分析した。その結果、授業1~5では児童が光を注視・追視することに徐々に慣れ、児童と授業者のやりとり成立の糸口ができつつある時期であった。授業6に児童がスイッチを押すと光がつくという因果性を理解できるようになると、光を注視・追視する時間も増え、情緒も安定していった。授業9には、児童が光を見たい場合のみ主体的にスイッチを押すようになり、授業10 ~11には、授業者との連続したやりとり成立の場面も増え、児童の光を注視・追視する連続時間も3分近くになった。今後の課題として、対象者の実態に応じたルーブリックの評価基準や授業者や評価者以外の複数の観察者による総合評価の必要性などがあげられた。
子ども向け絵本にみられる子ども観および教育観の時代的変化:価値観の変容と多様性の受容
著者:戸次 佳子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第15巻(2025.10) p55-66
2025年10月31日発行
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本研究は、子ども向け絵本に見られるその時代の子ども観・教育観の変化を読み解くことを目的として、主人公が「女の子」「男の子」のそれぞれ時代の異なる絵本を取り上げ、そこに描かれた主人公の言動や物語の構成などを比較検討した。対象とした絵本は、女の子が主人公の『わたしのワンピース』と『わたしのわごむはわたさない』、男の子が主人公の『かいじゅうたちのいるところ』と『もうぬげない』の4冊である。研究の結果、女の子はどちらも自分の「もの」を所有する喜びが、男の子はどちらも母親という安全基地の下で葛藤する自立願望が描かれていた。そして、男の子も女の子も空想の世界で楽しむ姿は時代を経ても変わらなかった。一方で、主人公の言動や物語の展開には、その時代の子ども観・教育観の変化が認められた。絵本のメッセージも、時代の流れの中で変容する多様な価値観を受け入れ、「多様性の受容」へ変化してきていることがわかった。
筋電計を用いたピアノ奏法の検証─シャンドール5つの基本動作による初心者と熟練者の比較─
著者:高木 麻衣子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第15巻(2025.10) p43-54
2025年10月31日発行
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本研究は、シャンドール5つの基本動作を用い、筋が作用すると推測される前腕・上腕部の幾つかの箇所を筋電計にて計測することによって、初心者と熟練者の奏法の違いについて比較検討するものである。研究対象として、初心者25 人、熟練者25 人の協力を得、平均値をグラフ化したものを比較し、その違いを分析する。5つの基本動作とは、(A)自由落下(B)五指運動(C)回転運動(D)スタッカート(E)突きの5つである。シャンドール5つの基本動作のような簡易な動作は、特に奏法を習得せずとも弾くことは出来るが、初心者と熟練者を比較した場合、熟練者は習得した技術・奏法を実行し、コントロールされた筋の使い方を行っていることが分かった。そこで、初心者においてもシャンドール5つの基本動作のような簡易な楽譜から奏法習得の経験を積むことが、上達への一つのキーポイントであるのではないか、と推測することが出来る。
Identifying Posttraumatic Stress Disorder via Art-Therapeutic and Psychiatric Approaches: a Study in a Japanese Psychiatric Clinic
著者:Silvia WYDER,大島 一成
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第15巻(2025.10) p17-42
2025年10月31日発行
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本稿は、PTSD現象と、日本人患者の絵画や語りにおけるその表出の可能性に焦点を当てている。さいたま市にあるN精神科病院において、日本人成人外来患者を対象とした介入研究を行った。2018年に4週間にわたり、合計15名の参加者が週2回のアートセラピーワークショップに参加した。参加者には「家」という特定のテーマが与えられ、絵画またはデッサンで表現することが求められた。患者に対する介入評価は、二つの方法、すなわち精神医学的評価と現象学的・質的及び量的なアートセラピーの方法によって評価し、さらに心的外傷後ストレス障害(PTSD)検査(IES-R-J, 1997,2002)と半構造化面接(Wyder, 2016)を用いて評価した。PTSD スコアが最も高かった(IES-R-J が44点以上)の5名の患者について詳細に考察した。参加者のアートセラピーセッションにおける表現の質的・現象学的評価、ならびに生活史および現病歴に関する精神医学的評価を行った。その結果、PTSDに関する精神科医とアートセラピストの臨床的・方法論的アプローチの効果の違いが対比できた。PTSDは、はっきりと診断されたPTSDを持つ患者でさえ、その美的作品に顕在化することはなかったが、アートセラピー介入によって、再び引き起こされる付随現象が明らかになることなく、根底にある原因に取り組むことができた。このようなアートセラピーの方法で、トラウマの様々な問題を、精神症状を悪化させることなく、安全に扱うことができたのである。さらに、セッション後の精神科医へのインタビューでは、2症例(J2,J11)において、アートセラピーへの参加および作品自体が治療の重要な材料となり、参加者の回復における重要な転機となったことが明らかになった。
中国の高齢者介護における介護職不足と地域福祉の役割―持続可能な介護モデルの構築に向けて―
著者:鄭 春姫,王 建萍
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第15巻(2025.10) p3-16
2025年10月31日発行
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背景:中国では急速な高齢化が進み、介護需要が拡大する中、都市部と農村部の介護資源の格差が顕著となっている。都市部では施設介護が進む一方、農村部では家族介護への依存が続き、専門的な介護サービスの提供が不十分である。地域福祉の視点から、高齢者が住み慣れた地域で適切な介護を受けられる体制の構築が求められている。
目的と研究方法:本研究は、地域福祉の視点から中国の高齢者介護の課題を分析し、介護職の不足、在宅介護の推進、スマート介護技術の活用の可能性を検討することを目的とする。CiteSpace を用いた文献分析を行い、介護人材の育成、介護支援ネットワーク、デジタル技術の導入に関する研究動向を整理した。
結果及び考察:介護職の待遇改善や研修制度の未整備により人材不足が深刻化しており、特に農村部では介護資源の偏在が課題である。また、地域住民が参加する介護支援ネットワークの重要性や、スマート介護技術の地域間格差が明らかになった。今後は、地域の特性に応じた介護人材の育成や、在宅介護支援の強化、地域包括的な介護システムの整備が必要である。
巻頭言
著者:金 貞任
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第15巻(2025.10) p1-2
2025年10月31日発行
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目次
著者:茶屋四郎次郎記念学術学会誌編集委員会
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第15巻(2025.10)
2025年10月31日発行
ダウンロード(509KB)
第14巻奥付
著者:茶屋四郎次郎記念学術学会誌編集委員会
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第14巻(2024.8)
2024年08月31日発行
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令和5年度茶屋四郎次郎記念学術学会研究発表会
著者:茶屋四郎次郎記念学術学会誌編集委員会
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第14巻(2024.8) p103-124
2024年08月31日発行
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ベテラン看護師の困難な体験後のレジリエンスと成長に関連する要因
著者:髙橋 真由美
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第14巻(2024.8) p87-102
2024年08月31日発行
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本研究は、ベテラン看護師の困難な体験後のレジリエンスと成長に関連する要因を明らかにすることを目的とし、看護師経験10年以上の現役の看護師100名を対象に、「レジリエンス」を精神的回復力尺度、「困難な体験からの成長」を外傷後成長尺度日本語版を用いて尺度間の相関と基本属性による2 群の差の分析を行った。その結果、ベテラン看護師のレジリエンスでは基本属性による差は認められなかったが、「新奇性追求」、「感情調整」、「肯定的な未来志向」の全ての項目が互いに影響していることが明らかになった。さらに困難な体験からの成長にはターミナルケア経験の有無が関連しており、ターミナルケア経験がある看護師の自己成長が示唆された。また各尺度の下位尺度間の関連において複数の有意な正の相関が認められたことから、レジリエンスが高いベテラン看護師は、看護師経験で培った困難な体験に対応する柔軟性や適応能力を活用し、困難な体験を自己の成長に繋ぐ力を養っていることが推察され、自己成長の要因のひとつであることが示唆された。
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