[日本学術会議協力学術研究団体]茶屋四郎次郎記念学術学会

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第1号奥付 日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)
2005年03月31日発行
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ドイツ政府第3次介護保険報告書の概要
著者:古瀬 徹
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p289-295
2005年03月31日発行
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2004年11月、ドイツ連邦共和国が閣議決定した「第3次介護保険報告書」に基づき、1995年から実施されているドイツの介護保険制度の概況を紹介する。
高齢者の心のケアに対する教育学的アプローチの可能性 ―英国生涯学習における自分史創作活動の意味するもの―
著者:山﨑 尚子
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p275-288
2005年03月31日発行
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本稿は、1990年初頭から英国の生涯学習分野における研究及びその実践において熱心に取り組まれるようになってきた自分史創作活動(autobiography)が、わが国における高齢者の内面を理解する方法として応用できる可能性があるのではないかという筆者の仮説に基づいて作成された論稿である。本稿は三部構成になっており、以下のように要約できる。第一部においては、英国教育界における高齢者問題に関する研究動向を振り返るとともに、近年特に関心が注がれている自分史創作活動をめぐる研究動向や実践の概況ならびにこうした運動の背景についても言及した。第二部においては、英国における成人教育の研究者や実践家の発表した論稿をもとに、自分史創作活動の理論と実践のあり方を紹介した。英国の生涯学習においては、学習者が主体的にこれまでの生き方を省察し、内面から「自己」を再構築していく過程において前向きに人生を送るための糧を見出す方法として、自分史創作活動が用いられている。また、その中で、実践家自身も学習者から影響を受け、「自己」を形成しながら学んでいく存在としてとらえられており、学習者と実践家の関係が注目されていることにもその特徴が窺える。第三部においては、こうした英国における自分史創作活動をわが国の高齢者に対する精神的ケアへ応用する可能性について、わが国のこれまでの自分史に対する取り組みや臨床現場における問題などを踏まえながら考察を行った。結論として、わが国の高齢者に対する心のケアを効果的に行っていくためには、高齢者自身の主体性を重視し、彼らが何らかの形で生きがいを見出すことができるような方法を具体的に提案していく必要があるのではないかとの見解を示している。
学校におけるソーシャルワークの必要性について―事例研究を通して―
著者:児島 佳史
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p269-274
2005年03月31日発行
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筆者の勤務する福祉系専門学校において授業に出席することが困難な学生の事例から、学校(主に高等教育機関)におけるソーシャルワークの必要性を考察した。今日わが国には、制度としての学校ソーシャルワーカーは存在しなく、どのように取り組めばよいのか模索する必要がある。そのための一提案として、学生の専攻分野別に学生の悩みの傾向を分析し、その傾向と対策および効果として一般化していければ、わが国の学校におけるソーシャルワークの位置づけに貢献できるのではないかと考えた。そして、学校教職員の一人ひとりの援助に対する知識や技術の向上が必要であり、そのためには事例の記録による蓄積が貢献につながっていくことを筆者の学校での対応から考察した。
高齢者における等尺性運動が膝伸展筋力に及ぼす影響について
著者:久米 信好,山口 登一郎,藤村 淳一,蓮本 宏一,牧内 くみ子
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p263-268
2005年03月31日発行
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「加齢は脚から」といわれるように,高齢者における下肢筋力の低下は,日常生活動作(activities of daily living, ADL)だけでなく生活の質(quality of life, QOL)さえも低下させる要因となり得る。そこで我々は、2003年6月に70~84歳までの男性5名、女性5名を対象に、どこでも簡単に行える大腿四頭筋の等尺性運動を指導した。指導の内容は、1度に20回の運動を1日2回、1週間継続してもらうものだった。そして、1週間継続後に、膝伸展筋力の変化についての調査を行った。膝伸展筋力をOG技研(株)製、MUSCULATOR GT-30にて計測し、調査前との筋力差を評価した。その結果、危険率5%未満で有意に筋力が強化された。
研究・教育のためのパソコン活用法
著者:曽根 剛
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p255-262
2005年03月31日発行
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本稿は初心者のために、研究と教育にどのようにパソコンやデジタル機器を使うべきかについてのヒントをいくつか提示している。本稿は以下のようなものに言及している。1)ソフトウェア:ワープロ、光学式文字読み取りソフト、音声認識ソフト、音声合成装置、表計算ソフト、統計パッケージ、CIAO、2)周辺機器:スキャナー、デジタルカメラ、ICボイスレコーダー、3)インターネット:ADSL、NACSIS Webcat、インターネット書店、検索エンジン、メールマガジン、ブリーフケース、メーリングリスト、ウェブログ、メールデコード。
介護保険制度導入の社会的・政策的背景を踏まえた、今後の高齢者福祉の方向性について―ノーマライゼーションとQOL(生活の質)の視点から―
著者:河野 等
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p247-254
2005年03月31日発行
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高齢者福祉の構造は、介護保険制度の導入により人間的なサービス利用者主体の体制へ移行してきている。今後はさらに一歩進んで、北欧諸国にみられる要介護高齢者を寝たきりにさせないケアを実施していくことを基本におき、その上で高齢者の多様なニーズに対応していくことが大切である。今後はそのような高齢者福祉政策を実施していくことが、日本におけるQOLを推進したノーマライゼーション的社会の到来を可能にすると思われる。そしてその実現を確実なものとするためにも、社会福祉基礎構造改革から一歩進んだ高齢者福祉構造改革、もしくは、高齢者福祉意識改革の実施が必要不可欠であると考えられる。
「中間ケア」(intermediate care)という用語の表す意味について ―日本、アメリカ、イギリスでの用法の相違―
著者:中島 恒雄
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p241-245
2005年03月31日発行
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東京福祉大学の児島美都子教授は、現在「中間ケア」に関する博士論文を作成中である。筆者(中島)は、博士論文指導教員の1人として、「中間ケア」に関する米国の資料収集に協力し、また、「中間ケア」の意味について調査を行った。英国では「中間ケア」とは入院患者の退院援助、あるいは退院後の自立を支援する保健サービスのことを指す。一方、アメリカではこの用語は全く異なる文脈で用いられる。米国では「中間ケア」という用語は、老人ホームの一種である「中間ケア施設」に関してもっぱら用いられる。そして、英国で「中間ケア」と呼ばれるサービスを供給するのは、アメリカでは医療ソーシャルワーカーである。
寝具汚染と睡眠行動の問題点
著者:栗山 恵都子,柚本 玲,田中 辰明
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p233-239
2005年03月31日発行
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本研究の目的は、日常の睡眠行動において発生する浮遊粉塵量と粉塵中に含まれるダニによるアレルゲンの関係について検討を行うことである。この目的を明らかにするために、寝具の素材、種類によるダニアレルゲン量の測定と睡眠時に寝返りなどの行為によって寝具から発生する浮遊粉塵の質量濃度について粒径別実測を行った。結果、綿素材の寝具はダニアレルゲン量が高濃度であり、フェザーやプラスチックのダニアレルゲン量は低濃度であった。浮遊粉塵測定からは、睡眠時には微小粒径の粉塵が長時間浮遊し続け、大粒径の粉塵はほとんど浮遊しない傾向がみられた。微小粒径粒子が長時間沈降しないことから、日常の睡眠行動中に、寝具から発生する粉塵に含まれるアレルゲンを吸入する可能性があることが明らかになった。さらに寝具を使用する行動を観察すると、アレルゲン濃度が高い掛け布団を呼吸息に覆ったり、枕に顔を埋めるなどの行動をとることがわかり、粉塵の自然落下による曝露以上に、アレルゲン等を吸入する危険性が高くなることが示唆された。
性同一性障害にかかわる未分化性中枢(間脳下垂体系)への性ホルモンの関与と実験動物モデルの作成
著者:小川 誠一
日米高齢者保健福祉学会誌 第1号(2005.3)p215-232
2005年03月31日発行
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性同一性障害や同性愛の発現は、視床下部周辺の性中枢が胎生期に偏った性ホルモン環境に曝されたことに原因の一つを求めることでできるという着想から、数種の性ステロイドホルモンによる<間脳下垂体系>のもつ性中枢機能への影響を実験動物によって確認し、genderの成因の過程を追い、ステロイドホルモンの雄性化力価による差異と比較を行った。また、雄性化に伴う生殖腺の器質的変化も観察し、それらの変化は恒久的で不可逆的であるとする従来の説に反論できる有意な成績を得た。著明に雄性化された雌ラットが同性の雌ラットに交尾行動を仕掛ける一連の男性化現象は、生殖腺の器質的変化と一致した。また、性同一性障害などの発生率の性差は国によって異なる。ヒトも含めて哺乳動物のもつ男性ホルモンの生物効果の発現が女性ホルモンより強いことが推測された。性同一性障害をもつ絶対人口が比較的少ないのは、ヒトも含めて、性ホルモンのもつ平衡機能として偏重せず、片方の性ホルモンのみが過剰にならない抑制の機構が具備されているためと推察される。視床下部周辺の性中枢は胎生期の初期ではきわめて不安定(形態因説)であり、さらに性ステロイドが性別(gender)に障害をもたらす期間が比較的短いことも発見した。また、性成熟後にHCG投与により、再び生殖機能を取り戻すという新事実も確認できた。
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