学術機関リポジトリ
表示順
表示数
表示数
目的:本研究では、家族介護者の介護と仕事の両立に関する中日文献の精査により、在宅要介護高齢者と同居家族介護者の介護と仕事の両立に影響を与える要因を明らかにし、今後の課題を提示した。研究の方法:要介護高齢者の介護と仕事を両立している家族介護に関する文献を検討するために電子データベースの検索を実施した。その結果、日本の文献20編と中国の文献7編、計27編が収集された。分析結果:介護と仕事の両立に影響を与える要因に関して、日中の類似点は、時間の確保の困難、代替介護者の不在、職場の支援制度の不足であった。日中の異なる点として、日本では、就業状況、介護者の健康状態であり、中国では経済的状態であった。結論:本研究により、日本に比べて中国では、家族介護者の介護と仕事の両立に着目した研究が少ないことが明らかにされた。中国の一人っ子世代が仕事と介護を両立するためには、国の介護支援政策と量的調査の関連要因に関する研究が重要であると考えられる。
カンボジアの仏教寺院が地域社会の中で果たす機能の諸相について
著者:クン パンニャーチャリヤー
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第12巻(2022.7)p37-50
2022年07月31日発行
ダウンロード(840KB)
カンボジア人口の8割以上が仏教を信仰しており、その仏教の大部分は上座部仏教である。仏教寺院は、財産を持たない托鉢により生きる出家者と、それを支える在家信徒から成り立っており、出家者と在家信徒は密接に相互依存している。仏教寺院は仏教活動以外の機能として、選挙の投票所、NGOの会合、地域の社会的活動などの各種の行事を行うための集合場所であり、僧侶が中心的な役割を担っている。さらに寺院は、公的機関の補助的な役割として、地域社会の弱者である貧困層の子どもと大人、病弱な高齢者をサポートする社会福祉施設の機能を担っている。一方で、小学校や橋の建設などのインフラ整備に積極的に取り組むべきであるという指摘があるが、カンボジアの仏教寺院に関する研究は少ない。そこで本研究では、カンボジアの仏教寺院の現状と地域社会における社会福祉機能の詳細を明らかにすることを目的とした。本研究により、カンボジアの仏教寺院の地域社会の貢献との関連を研究する実践研究に寄与できるものと考える。
組織型と独立型のソーシャルワーカーの倫理的ジレンマに関する研究
著者:水島 正浩
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第12巻(2022.7)p23-36
2022年07月31日発行
ダウンロード(855KB)
目的:本研究では、組織型と独立型ソーシャルワーカーを対象に倫理的ジレンマに影響を与える要因を探索的に明らかにした。研究の方法:調査対象者は、組織型ソーシャルワーカー125名(回収率65%)、独立型ソーシャルワーカー84名(回収率52.5%)である。質問紙調査による郵送調査を実施した。分析方法として、記述統計、因子分析、平均値分析(T検定)、相関分析、重回帰分析を行った。統計分析には、SPSS.ver.25 を用いた。分析結果:組織型ソーシャルワーカーは「自己レベルの倫理的ジレンマ」であり、独立型ソーシャルワーカーは、「地域・社会レベルの倫理的ジレンマ」が多かった。倫理的ジレンマに関して、組織型ソーシャルワーカーには「自己レベルでの倫理実践認識」が、独立型ソーシャルワーカーには「地域・社会レベルでの倫理実践認識」が影響を与える要因であった。結論:組織型ソーシャルワーカーは「自己レベルでの倫理的ジレンマ」に対して「自己レベルでの倫理実践認識」を高めていく取り組みが効果的であり、独立型ソーシャルワーカーは「地域・社会レベルでの倫理的ジレンマ」に対して「地域・社会レベルでの倫理実践認識」を高めていく取り組みが効果的である。今後それらの取り組みを高めていく“ 場“ としての「倫理研修」等を整備・構築していくことが望ましい。
地域福祉ボランティアとしての市民後見人の位置づけに関する検討―民生委員および保護司との比較から―
著者:佐藤 惟
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第12巻(2022.7)p3-22
2022年07月31日発行
ダウンロード(1,035KB)
本稿は近年、注目されながら様々な課題が指摘されている市民後見人の「地域福祉ボランティアとしての位置づけ」について、民生委員および保護司との比較により検討することを目的とした。研究方法は文献研究である。研究の対象として「市民後見人」、「民生委員」、「保護司」について記述された各種文献等を収集し、①法的根拠、②行政との関係、③活動内容、④活動地域、⑤就任に至るまでの研修時間、⑥任期、⑦報酬、⑧人数という8つの分析の視点を立てた。検討の結果、市民後見人の活動内容は資格を有する専門職と本質的に変わりなく、任期がないなど責任の重さが際立っており、ボランティアとしての位置づけが果たして適切なのか、検討の余地があった。また、活動区域が広がる傾向がある事から「地域福祉の担い手」としての位置づけも曖昧になりつつあり、当初の理念に沿った「市民後見人」のあり方を再考する必要性が示唆された。
2012年に創設された放課後デイは、今後も拡充が進められる事業である。しかし、2015年にガイドラインが示されて以降も支援のあり方や専門性、質に関する議論は十分とは言えない。本研究は、放課後デイの支援の基本となる理念について、ガイドラインの基本的役割に注目し考察した。放課後デイの根拠法である児童福祉法および、その関連法や条例の目的と理念を概観し、ガイドラインの基本的役割との関連を検証した。基本的役割のうち「子どもの最善の利益の保障」は児童福祉法の中核的な理念から引き継がれ、「共生社会の実現へ向けた後方支援」は社会福祉をはじめとする障害者基本法等の理念が反映されている。「保護者支援」については、広義の発達支援の概念が反映されたものである。それぞれの役割は放課後デイの支援において相互に影響し合うものであり、欠かすことのできない支援である。したがって、基本的役割は放課後デイの理念としての役割も果たしていることが示された。
『日本語国語大辞典』(オンライン版)で1 モーラ接頭辞「御(お)」「小(お)」「気(け)」「生(き)」「小(こ)」「さ」「素(す)」「真(ま)」「御(み)」の付着する語を集め、データ化したものを使用し、言語調査を行った。特に1モーラ接頭辞では付着する語との音の吸収を避けるため、「おとうさん」のような引き音、母音融合、子音発音時の阻害が低いものは付着を回避するであろうという仮説を立てた。結果として、① 1モーラ和語系接頭辞は【m】を持つ「真(ま)」「御(み)」以外、「おおくら」のように、それと同音の語基語頭音には付着しにくい。(引き音)②母音の1モーラ和語系接頭辞「御(お)」「小(お)」「さ」「素(す)」では「おうみ」のように母音融合を回避する傾向がある。(母音融合回避)③接頭辞「御(お)」において歯茎または硬口蓋摩擦音【s】を持つサ行や声門摩擦音【h】と濁音は付着度が低くなる傾向がある(阻害が低い音の回避)という3つの結果が得られた。
検索条件