学術機関リポジトリ
表示順
表示数
表示数
中国におけるリバース・モーゲージ制度に関する基礎研究-制度の展開に向けて-
著者:魏 小玉
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第9巻(2019.11)p57-70
2019年11月30日発行
ダウンロード(1,692KB)
中国では社会発展に伴い、高齢者の扶養問題が一層厳しくなっている。若者の中には自分の生活のために親を扶養できないケースが多く、膨大な人口を抱える中国では様々な扶養手段が求められている。リバース・モーゲージ制度はその一つとして2014年に開始された。同制度に関する先行研究では、その展開において指摘される三大リスク以外にも、土地の所有権や法律の未整備、国民の伝統意識が中国における展開を妨げる要因として挙げている。本稿は、中国の4都市でリバース・モーゲージ制度に対する国民意識についてアンケート調査を実施し、その結果から同制度に対する国民の認知度は低いものの、実施においては必ずしも抵抗しているわけではないことを明らかにした。それを踏まえ、同制度の展開に向けて「親しみやすい用語による普及啓発」、「土地使用権に関する法律の整備と住宅の価値評価の仕組みづくり」、「公的年金制度との連携」の三点を提言した。
精神障害をもつ在日中国人における「生活のしづらさ」-中国語精神科専門外来から-
著者:李 亭
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第9巻(2019.11)p39-55
2019年11月30日発行
ダウンロード(4,250KB)
本研究では、精神障害をもつ在日中国人における「生活のしづらさ」を検討することが目的である。中国語精神科専門外来に通院中の30 名の精神障害をもつ在日中国人を対象に半構造化面接を行い、木下による修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した。その結果、20個の概念、9個のサブ・カテゴリー、4個のカテゴリー、および7対の対極概念を見出すことができた。 精神障害をもつ在日中国人における「生活のしづらさ」の形成要因は主に、言語の不自由による受診の困難さ、精神障害がもたらす様々な活動制限と参加制約、孤立された生活環境の中で生じた否定的な態度、異文化への不理解などであった。他方、現在の中国と比べ、日本の医療・食品・環境・サービスに対する安心感、生活保護・自立支援・年金給付に対する満足感などの「生活のしやすさ」も実感していることが明らかになった。
本論文は、主に仙台の飲食店等でその写真が飾られ、商売繁盛をもたらすと言われている「福の神」仙台四郎という人物の実像と虚像について明らかにすることを目的とする。その実像は、江戸末期に知的障害をもって生まれ、明治時代を生きた人物である。不思議と四郎が立ち寄った店はその後、繁昌をするという噂が流れるようになる。四郎は、お金をもたらす「福の神」として、徐々に、料亭・芸妓屋・旅館等で受け入れられるようになる。本論文では、その理由についていくつかの側面から考察した。その結果、彼を受け入れたと思われる人々もまた四郎と同じように、社会の片隅に追いやられていた人々であったことが明らかになった。四郎の生涯は、「福の神」として人々に重宝がられるという一面をもちつつ、一方で、侮蔑と嘲笑の対象でもあったことが示唆される。
表現としての「つぶやき歌」の一研究~3歳児の延長保育での遊びを通して~
著者:山口 惠美子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第9巻(2019.11)p13-26
2019年11月30日発行
ダウンロード(1,302KB)
子どもの表出活動としての独自の発声は「つぶやき歌」とも言われる。子どもの自然の発声の実態を明らかにすることは、幼児の表現活動の研究において重要であると考える。つぶやき歌を採取し、音声(音響)の特性、発現状況、子どもの内面的要因等を明らかにすることを目的とした。保育園の延長保育園児、3歳児15名を対象に、遊んでいるときの声をICレコーダーに録音し、つぶやき歌発現の回数が多かった4名について、つぶやき歌の音響の特性、発生状況エピソード記録の分析をした。つぶやき歌の発現においては、子どもの感情や周りの状況が大きく影響し、音響にも特徴があることが認められた。
憲法の生存権規定を考える-憲法制定時の議論及び各国憲法との比較をもとに-
著者:喜多村 悦史
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第8巻(2018.3)p149-167
2018年03月31日発行
ダウンロード(973KB)
健康で文化的な生活は自由人すべての生活目標である。その実現に必要なのは各人の自己努力であるとするのが伝統的な考えであり、勤労精神が重視されてきた。しかし近時はこれを古い考えとして退け、生活の諸事に渡って国家資金による直接的支援やサービスを要求する傾向が見られる。その際に持ち出されるのが現行憲法25 条、すなわち国家による生存権保障である。だがその考えは普遍的なのだろうか。また日本国民の感覚にマッチしているのだろうか。戦後の憲法改定時にさかのぼって25 条関連の議論を検証するとともに、現代諸外国憲法における類似条項を探ることで、現行25条の特異性を浮き彫りにする。そして今後加速化すると思われる現行憲法改正議論に一石を投じる。
子の学力に及ぼす親の収入-教育の機会均等は守られているか-
著者:簑輪 欣房
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第8巻(2018.3)p135-148
2018年03月31日発行
ダウンロード(2,205KB)
文部科学省が毎年発表している全国学力・学習状況調査(以後、全国学力テストとする)の結果では、家庭の収入が多いほど、その子どもの学力テストの正答率が高い事が報告されている。すなわち、親の経済力(世帯収入)によって子どもの学力格差が生じており、収入の低い家庭の子どもの学力が低い傾向にある。このまま格差が広がると、低所得者層には重大な影響を与え、改善できない場合、生まれてきた環境で子どもの人生が決まってしまうという事態が起こりかねない。教育とは国の経済力や国を豊かにしていくためになくてはならないものであり、すべての人に平等に教育を受ける権利が憲法、教育基本法で保障されている。しかし、現状では所得の格差や様々な制度の問題で十分な教育を受けられないという問題は増加しているといえる。そのような問題を少しでもなくすために、教育格差の根底にある所得の格差を縮小するための政策や支援制度を充実させ、教育におけるセーフティーネットを広げ、充実させていくことで格差なく教育が受けられるようになると考えられる。
検索条件
![Shirojiro Chaya Memorial Scholastic Institute [日本学術会議協力学術研究団体]茶屋四郎次郎記念学術学会](content/images/headlogo.png)