[日本学術会議協力学術研究団体]茶屋四郎次郎記念学術学会

学術機関リポジトリ

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医療機関で働いている対人援助職者の専門的業務領域に関する認識について―医療ソーシャルワーカーと看護師との比較を通して―
著者:髙橋 登志子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p95-108
2017年01月31日発行
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本研究は、医療機関で業務内容の基準として一般化されている「医療ソーシャルワーカー業務指針」と「看護業務基準」をもとに、医療ソーシャルワーカーと看護師が自らの業務内容、両者の協働についてどのような認識をしているか調査した。調査内容は、調査対象の基本属性、勤務する病院の種別、勤務する医療ソーシャルワーカー人数、勤務する医療機関の日本機能評価機構認定の有無と業務内容30項目のアンケートを実施した。結果として、業務内容の「心理社会的問題の解決・調整」「受診・受療援助」を協働する領域であると考えられ、保健・医療・福祉での組織的な提言をしていくことが必要であると示された。また、医療ソーシャルワーカーと看護師に業務の認識の違いがある場合には、どこからその認識の差は生じているのか、それを埋めるための方策を模索する必要の示唆を受けた。
「介護予防政策」の背景に潜在化している社会的潮流の探究と新たな課題について
著者:河野 等
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p83-94
2017年01月31日発行
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前回本学会誌(第6 号[2015.1] )において、筆者は自己の論文を通して「介護予防政策の全体的構造」を検討し提示した。しかしその後、介護予防政策のニーズを生み出す源泉ともいえる社会的背景を確認する必要性があると考えるに至った。研究目的は、(1).「介護予防政策」の背景に潜在化している社会的潮流の探究と新たな課題〉を検討・考察していくことである。分析方法については因果ネットワークを採用した。結果として明らかになったことは、『都市化』『近代化』『産業化』を起点とした本流的流れと、その本流の流れを汲む『女性の社会進出』『女性の晩婚化・晩産化・未婚化』という支流的流れという社会的潮流の存在であった。またその他、今後第3の社会的潮流になるかもしれない“ ダブルケア” という新たな課題も再確認しつつ、その解決案の1つとして『介護予防政策を中心に据えた介護政策(介護政策領域における介護予防政策のハブ化)』の策定・実施が有効であると考えるに至った。
子どものネガティブな感情表出を受け止める養育力尺度の試作
著者:石 晓玲
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p73-82
2017年01月31日発行
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本研究は,一般家庭における虐待の連続性に着目し,「子どものネガティブな感情表出を受け止める養育力」が虐待予防の鍵と考え,その尺度開発を試みた。インタビュー調査から79個の予備項目を収集し,それを用いて保育園児(0-6歳)を持つ母親91名に質問紙調査を行った。因子分析から最終的に25項目で構成された尺度が得られ,「怒りによる統制」「感情の混乱」「対処不能・回避」「配慮・説明」の4因子が見出された。4因子のα係数は順に,0.818,0.800,0.751,0.652 であった。「怒りによる統制」「感情の混乱」「対処不能・回避」のいずれも,母親のディストレスの心理状態との関連性を確認しており,全般的に言えば一定の信頼性・妥当性が示された。特に「対処不能・回避」「配慮・説明」傾向が日本の育児文化の特徴を反映していると考えられる。今後は尺度を精緻化し,虐待予防の臨床や実践的応用を図る。
SSTを活用した軽度知的障害者の生活不適応の改善に関する研究~障害者就業・生活支援センターにおける実践の試み~
著者:羽鳥 位早代
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p59-71
2017年01月31日発行
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知的障害者の場合、就労が困難なケースの多くが障害は軽度であるが心理的側面で問題があり、対人関係を始めとした社会生活上の不適応が顕著である傾向が強い。このようなケースに対して、SSTを用いた計画的介入を行い、不適応状態の改善についての効果を検証する試みを行った。筆者が所属する障害者就業・生活支援センターにおける登録者のうち、上記に該当する10名に対して、全てのケースを実験群として、彼らを4つのグループに分け、Bellack のカリキュラム用技能シートを参考に筆者が作成したプログラムに基づく10回のセッションを行い、シングル・システム・デザインを用いて介入前後の変化を検証した。結果として統計的また実践的にも一部改善が認められた。また理論的裏づけも認めることができた。さらに対象者の傾向から結果を検証したところ、SST介入に適する対象者像は、自己効力感が低すぎない者ということが明らかになった。
共依存症者を対象とした音楽療法による介入の可能性−音・声・身体・音楽を用いたグループワークによる人間関係改善への検討−
著者:長谷川 美津子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p45-57
2017年01月31日発行
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共依存とは他者(多くの場合、配偶者)に必要とされたがる自己の必要を最優先にさせる生き方のことである。そのため、共依存症者は依存症者の依存性を断たせるための世話をするが結果としてその人の回復を妨げるようになり、依存を亢進させるようになってしまう。依存症者と共依存関係にある家族や親密な他者への治療・介入には、個人療法やグループ療法、家族療法などが活用され、ホイットフィールド(Whitfield,C.L.1987,1989)をはじめ多くの研究業績が存在する。彼らの研究結果から出ている共依存症者の共通的な特徴は自尊感(Self -Esteem)の低さ、感情表現が不得手、強い不安と高い依存性のため他者をコントロールする傾向などがあげられる。そのため、人間関係においても数多くの問題を抱え込んいる人が多い。そこで心理・社会的に効果が示されている音楽療法を共依存症者グループに用いた。音・声・身体・音楽による非言語体験と言語表現による音楽をテーマとした自己語りの両者を検討することで、問題改善への影響を分析したところ、人間関係に求められる他者との境界、感情表現、自身の価値、盲従に有意差が認められ変化・改善が示されたことになる。これらは音楽特有の非言語による感情表現から、他者との共感と安全安心を体感して、それまでの思考、対処、コミュニケーションパターンに気づき、自身の新たな価値の言語表現を可能にしたと考える。
A市における保育所・幼稚園の昼食後の歯磨きおよび口腔体操の実施状況について
著者:橋本 由利子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p33-43
2017年01月31日発行
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子どもが歯を磨くということはう蝕の予防や、食べたら磨くという生活習慣を身に付けるなど、さまざまな効果がある。また口腔体操は、咀嚼や嚥下の機能の維持・向上が多くの高齢者の研究で認められている。しかし、保育所や幼稚園における歯磨きや口腔体操の実施状況はあまり明らかにされていない。この研究では、A市において、保育所と幼稚園の昼食後の歯磨きと口腔体操の実施状況をアンケートによって調査した。昼食後の歯磨きを行っている園の割合は、保育所では0,1歳児では約30%、5歳児では約90%であり、年齢とともに増加した。幼稚園では1園の4歳児を除いてすべての園で実施していた。口腔体操を実施していたのは保育所・幼稚園共に1園のみであった。保育所保育指針解説や幼稚園教育要領解説では、「歯磨き指導の他、食生活を含めた心身の健康教育を計画する」「手洗い、歯みがき、うがいなど病気にかからないために必要な活動を自分からしようとする態度を育てる」と謳っているため、現在、昼食後の歯磨きや口腔体操を行っていない園でも、今後、取り組むべき課題であると考える。
マクマスター家族機能(MMFF)モデルと家族アセスメント
著者:洪 金子
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p13-31
2017年01月31日発行
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家族をアセスメントする代表的なモデルには、Epsteinのマクマスター家族機能モデル(MMFFモデル)、Olsonの円環(Circumplex)モデル、Beaversのビーバーズモデルなどがある。本研究は、三つのモデルの中で、MMFFモデルの特徴と限界について察することに目的を置く。MMFFモデルを選んだ理由は、三つのアセスメ ントモデルの中で一番早く開発されたモデルであって、円環モデルとビーバーズモデルの原型であるし、臨床・非臨床の場面に適用した結果、その信頼性と妥当性において高い評価を受けているモデルでもある。なお、MMFF モデルは、その統合的・包括的特性のため、多様化・複雑化されている現代の家族や多問題家族の問題をアセスメ ントするモデルとしてもっとも適切であると考えるからである。具体的な研究目的としては、(1)MMFFモデルの理論的前提、(2)MMFFモデルのアセスメントの領域、内容、その尺度について説明する。そして、(1)と(2)を総合してMMFF モデルの特徴と限界について解明することに置く。MMFF モデルは、理論的にはシステム理論に基づいて開発された。家族機能のアセスメント領域には、問題解決、コミュニケーション、役割、感情的反応、感情的関与、そして行動の規制の6つの領域が含まれる。MMFFモデルのアセスメント尺度には、FAD、MCRS、McSIFFの三種類がある。FADは、MMFFモデルを実践的に運用できるようにした代表的尺度であり、McSIFFは、テラピストが家族と直接的なインタビューや観察を通してアセスメントができるように作られた尺度である。MMFFモデルの特徴としては、それ自体が包括的で統合的モデルである点を始め、問題中心モデルであり、アセスメントを五つの段階で実行する点、正確で完全なアセスメントを強調する点など、九点を挙げた。モデルの限界としては使用マニュアルが不足している点、健康モデルに基づいて開発されたため、異なる文化や下位文化の世界各国の家族に適合しないという批判を受けている点を含め、六点を提示した。
巻頭言
著者:藤田 伍一
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p11-12
2017年01月31日発行
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巻頭言
著者:中島 恒雄
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)p1-9
2017年01月31日発行
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第7巻目次
著者:中島 恒雄
茶屋四郎次郎記念学術学会誌 第7巻(2017.1)
2017年01月31日発行
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